02:要らぬ発見は立て続けに…



宿屋に着いて、イオンとガイの居る部屋へ入った。

「イオン!ガイの様子は…?」
「お帰りなさいルーク。カースロットの解咒は無事成功しましたよ」

イオンがにこにことルークに告げる。

「あぁ…良かった」
「心配掛けて済まなかったな、皆」

そういって、ベッドからガイが起き上がる。

「ガイ!あ…のさ、俺…悪かったよ…。今まで色々ガイに世話になってきたけど、
殺したい程憎まれるようなことしてたなんて…俺…、全然気付かなくて…」


「……ばぁか。そんなんじゃねぇんだ。確かに最初は―――」

と言って切り出したガイから聞く所によると、

ガイがマルクトの出身で、ホドを領地としていた貴族だったが、
ホド戦争の時に、俺の親父…ファブレ公爵によって家族を殺されたという。
それで、奇跡的に助かったガイは、そのままヴァンと手を組んで
俺の屋敷に世話係として雇われた。
そのまま頃合を見て俺を殺すつもりだった。
ファブレ公爵に、家族を奪われた者の気持ちを思い知らせるために。

「――だけど、今は違う。もうお前を殺したいなんて思ってない。
そりゃ、たまにその事を思い出さないわけじゃない。
だが、もう決めてるんだ。お前がどういう道を歩んでいくのか、見届けたくなってな」

「…良いのかそれで。嘗ては俺を殺したいとまで思ってたのに」
「良いんだ。お前こそ、俺をまだ仲間だと信じてくれるのか?」
「俺は…ガイを信じる」


「ありがとな、ルーク」



「さて、話が一段落着いた所で、皆さん急ぎましょう」

先ほどはガイの素性を勝手に調べ上げては、本名など過去をばーっと話したジェイド。
そして今度はセントビナーへの道のりを急いた。

「ちょっと待って下さい大佐ぁ。イオン様はユリア式ダアト譜術を使ったばかりで疲れています」
「そうですね。丁度良いですから、イオン様は此処でお体を休めていて下さい。
私達はこのままセントビナーへ向かいます」

それを聞いて、アニスはホッとした。
これ以上イオンに無理はさせたくなかったから。

だが、そんなアニスの思いとは裏腹に、イオンは自らジェイドに言った。

「ジェイド、僕の事は大丈夫ですから、僕もセントビナーへ行かせて下さい」
頑ななイオンの姿勢を皆知っていて、彼がそう言うと嫌でも引き下がらないのを知っていた。
それを悟って、ガイが進言する。

「連れて行ってやろうぜ、旦那。此処に置いて行っても、一人でのこのこ着いて来るんじゃないか?」

「…はぁ、確かに。良いでしょう。危ない真似だけは止して下さいね」
「あ、ありがとうございます!」


「よし、急いでセントビナーに行こう!」




そうして、一行はグランコクマを出た。















セントビナーに到着すると、一行はすぐにマルクト軍基地に行った。


マクガヴァン元帥とマクガヴァン将軍に会い、事の次第を説明した。

「――――この町の市民を避難させます」
「しかし、それでは、このセントビナーの町を捨てるというのか。第一、陛下のご命令がなければ…」
「陛下の命なら受けております」
そう言って、陛下からの勅命を記した紙面を見せた。

「わかりました。市民の避難を開始します」
「それについての指示ですが―――」

ジェイドの隊が外受けをすること、誘導は自分達が手伝うこと等、要点を伝え、
セントビナーの住民の避難が始まった。






「―――子供とお年寄りを優先しろ!」


ジェイドの指示の声が響き、

「大佐、第一区非難、完了しました!」
「了解」


兵達の規律が乱れることはなかった。


グラッ

突如地震が起こった。


「律動の間隔がどんどん短くなっていると言っていたな…崩落が近いのか」


そんなことを考えていると、ふいに、目の前の植木が揺れた。


こそっこそこそッッ…



……!!!!!!


(…今何か見えた気が…)

いやいや、気の所為だろう。そんな筈が…


カサカサカサ…

!!!!!!




ジェイドは目を疑った。しかし、疑っても仕方がないことがすぐに分かる。

「…陛下。何故このような危険な所へいらしたのですか?」

米神に青筋を立てながら、それが隠れていると思しき植木に向かって言う。
傍から見ればなかなか奇怪な光景だったのだが…

その植木の中から本当に当の人物が現れれば、不思議なことに奇怪さが薄まるのだった。


「いやぁ〜気付かれたか。よぉジェイド。ちゃんと任務を遂行しているようで良かった良かっt 「何しにいらしたんですか」
言い掛けている所に、ジェイドの鋭い指摘を食らって、

「なーんだよ。せめて最後まで言わせろ」
「陛下…貴方という人は」

ジェイドは心底参ったという顔で言う。

「俺も民が心配だったんだ。それに人手が足りないなら丁度いいだろ?」

「は?まさか手伝われるおつもりですか?」
「当たり前だ」
「止して下さい。貴方はとにかく、セントビナーの外へ…」
陛下の言葉を即答で伐採し、陛下を門の所へ強引に押しやっていると、


「はーっはっはっはっは!!!」



!!!

この声には流石に皆が気付いた。
近くに居たルークとティアが真っ先に駆けつけた。

「ジェイド、まだそんな者達とつるんでいるのですか?」

そう言って現れたのは、空飛ぶ譜業博士、六神将・死神ディストだった。
背後には何やら物騒な譜業兵器が見える。


「…あなたは本当に、要らない所によく現れますね」
ジェイドも適当にあしらう。

「よおサフィール。お前相変わらずそんなおもちゃで遊んでるのか」
そう言ったのは紛れも無く、ジェイドの隣に立っている男。
ディストも見慣れた男だった。

「な…ピオニー!!何故貴方まで此処に居るんですかッ!!?」
(そして何故ジェイドの隣にちゃっかり居るんですか!!!(涙)

というディストの心の叫びはさて置き、
ディストに気を取られていたルークとティア、また、他で非難活動を続けていたメンバーも皆
彼の登場に気付いたのだった。



「「「「「…陛下!!!??」」」」」








       

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はい。陛下とーじょー。
というか一刻も早く陛下にPTインして欲しかったので、
少し長くなりましたが、ディストとセットで登場ですw(笑

っていうか…陛下ゴ○ブリですかみたいなね(腐ッ!!
カサカサ…ってねぇ!(ぇ
や、この辺からはもうギャグで。ギャグ的ノリで。



07/7/26(Thu)