気付いたら…朝だった…  

    いや、  昼だった。






06:職人街




――――ぉい、ジェイド。

  「起きろ、ジェイド」



未だ覚醒し切っていない瞳には、彼の者の幻影が…
いや、これは現実だ。

目の前には、自分を見下ろす空の青が二つ。


「…へ…いか…。おはようございます。今何時ですか」

徐々に覚醒する意識。

「もう昼だ。というより、もうすぐ港に着く」
「…っ!す、みません。どうやら寝過ごしてしまったようです…」

疲れた心と裏腹に、自らの体を酷使する男は、
ピオニーに対して申し訳ないと謝罪したが…
正直言うと、彼にとっては、ジェイドが自らを重んじなさ過ぎる事に
少し苛立ちに近いものを抱いていた。


「疲れてたんだろ?別に、少しくらい遅く起きたって構わない」

「いいえ、皆さんももうとっくに起きているのでしょう?
私だけが寝ているわけにも行きませんよ」

そう苦笑して、ジェイドはベッドから起きて、
少し重い体を引き摺って、洗面所に向かったのだった。



「朝起きるのも苦手な癖に」

ふぅ…と一つ溜め息を吐きながら、
ジェイドが戻るのをベッドに座ってぼーっと待っていた。


暫くすると、軍服をきっちり着込んだジェイドが現れた。

「陛下、私はこれからブリッジに行って状況と進路の確認をして来ます。
暫くしたら港に着くようですから、下船の準備を少なからずして置いてくださいね。
あとは艦内放送を掛けますから、ご自由にくつろいでお待ち下さい」

「ああ、心配は無用だ。俺もお前とブリッジに行く。
仕度なんざお前が寝てる間にとっくに終わらせたからな」


「…すみません」

「謝るな。悪いと言ってる訳じゃないんだ。お前の寝顔をもっと見t 「さて、行きましょうか陛下」

「…なんだよ、最後まで言わせろっ」
「朝から下らない話はやめて下さい」




そんなこんなで二人でブリッジへ向かった。
途中各部屋で下船の準備をしていた仲間の声が聞こえたり、
タルタロス艦内は賑やかだった。







―――ブリッジ



ジェイドは操縦席に座ると、進路状況を確認し、艦内に放送をかけた。

「艦内、ルーク・ティア・ガイ・アニス・ナタリアの五名は至急ブリッジに召集せよ」


この放送によって、ジェイドの声を確認した五人は、
準備を終えて、ブリッジへ向かった。







「全員揃いましたね。もうそろそろシェリダン港に到着します。
シェリダンは港から少し離れていますので、外を歩く事になります。
魔物に出くわす事も多いでしょうから、足手纏いにならないようにお願いしますね」


一日の最初に面と向かって言われる言葉がこれかと、
全員が思ったのだった。













―――――シェリダン港





「ここがシェリダン港か」

ガイが感嘆を漏らす。

何故かここに近づくにつれ、ガイのテンションがどんどん上がっているような気がしなくも無い。
だが、仲間はそれにうっすら勘付いていたくらいで、
ルークだけは、なんとなくだがその理由が分かっていた。


ガイ=譜業大好き。


一瞬この公式がルークの脳裏を過ぎるのだった。



「さて、皆さん。とっととシェリダンに向かいましょう。
飛空挺についてなるべく早く情報を手に入れたいですからね」

「ああ、皆、急ごう!」

ルークが一括入れる。
最近ではお決まりのパターンになっていた。

アクゼリュスの一件以来、ルークは人が変わったように精力的に人の為に動くようになった。
人のことを思いやれるようになった。
というより、今はそうなろうと努力している最中だった。
そのルークの変貌振りに、周りは感心すら覚えていた。


そうして一行はシェリダン港を後にし、広大なフィールドに出た。






「うっわ、なんか岩とか砂とか石だらけだな…」
「ここら一帯はメジオラ高原っていう岩肌の高原の地帯なんだよ。
だから、砂漠ほどじゃないが、結構砂っぽい所でもある」
「さ〜っすがガイ〜wホントに色んなこと知ってるよねぇ〜☆」
「ま…まぁな (それ以上近づかないでくれっっ)」

顔面蒼白のガイと確信犯のアニスだった。



「皆、気をつけて、敵よ!」

不意にティアの声が空を裂いた。

「「「!!」」」

ルークたちが振り返ると、やはりお馴染みの魔物が居た。
飛行タイプだ。


「私が行きましょう。ルーク、ティア、ナタリア、援護を」

「まかせとけ!」
「了解」
「承知しましたわ」

短い合図と共に、戦闘に向かって行った。

「「…アレ、俺ら、蚊帳の外??」」
「アニスちゃんも蚊帳の外〜ぶぅぶぅ」

取り残された三人はぼーっと戦闘を見つめるのだった。









    

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読んで下さって本当にありがとう御座います!
今回はまるで何も進展無しの展開で申し訳ありませnげほっごほっlll;
とりあえず閑話休題みたいな感じですか。
山がありませんね(腐

しかも中途半端…(遠い目

次、シェリダンです。


07/9/28(Fri)