粗方の戦闘をちゃっちゃと終わらせ、

漸く辿り着いた… 職人の街、シェリダン。



07:譜業職人達の闘い




「見ろよこの譜業!すごいぞ!うひゃ〜」

一番最初にはしゃぎ出したのは言うまでも無く、ガイ。
それを見て苦笑するルーク。

他の者…特に女性陣は?マークを浮かべている。

「あんなガイ…初めて見た」
「どうなさったのかしら…」

「ガイは昔っから譜業が好きだったからな…」
遠い目をしながらルークが言う。


街の中を程ほどに行って、広場に出たところに、人だかりがあったので近づいてみた。


「あの〜、ここに、空を飛べる譜業が有るって聞いて来たんですけど…」

「ん?誰じゃぃアンタ達ゃ」
「それってワシ等が作っとる飛空挺の事かいの?」
「生憎と今それがちょっとした事故で…」


丁度彼らこそが目的のものを作っている者だと知り、話しを伺えば、
どうやら試運転中にトラブルが有って操縦士(名前はギンジという)ごと飛空挺も墜落の危機にあるらしい。
墜落すれば、操縦士の命と共に、飛行譜石も失われてしまうという。

自分達で助けに行きたいが、生憎と其処が魔物の巣窟であるメジオラ高原であり、
自分達は既に老いてしまっていて、魔物と戦うなんてとても出来ない。
そこでどうすればいいのかを口論していたらしい。


「だったら…俺達がギンジさんを助けに行きます!!」
「馬鹿モン。メジオラ高原は魔物の巣窟じゃと言ったじゃろう?危険じゃ」
「俺達、魔物との戦闘には慣れてます!それより…」
ルークが言い掛けた所で、陛下が口を出した。

「それより、俺達がギンジと飛行譜石を無事に救出出来たら、飛空挺を俺達に貸してくれないか」
「…本来ならアンタ達の目的次第じゃが…良いじゃろう」
「よーし、そうと決まれば、さっさとギンジとやらを助けに行こうぜ!」

ルークは美味しい所を陛下に根こそぎ持っていかれた気分になった。


戦闘準備を整えていると、飛空挺職人の一人であるアストンさんから
救助に必要な『ランチャー』を貰った。



「飛空挺は崖の上にかろうじて引っ掛かってる状態らしい。時間との勝負じゃ。くれぐれも、頼んだぞぃ」
「はい」


そうして全員、メジオラ高原へと向かったのだった。













――――――メジオラ高原





高原に行き着くまでにも魔物に幾度と無く遭遇していたが、
到着すると、その空気は一気に張り詰めた。

魔物の巣窟――――

そう言われるのも仕方ないかもしれない。
辺りは魔物の放つ殺気で満ちていた。


「あれ!」

ルークが指差した所

崖、そして飛空挺と思しき譜業だった。


「あれで間違いないでしょうね」
ジェイドが肯定する。

「『ランチャー』は二つ。崖の両側から打って、飛空挺を落ちないように支え込むってワケか」
「両側から同時に打つ必要がありますね。片方だけではその衝撃で落ちてしまいます」
「ここからだと、二手に分かれて打つしかないな」
陛下とジェイドとガイが三人で作戦会議のように着々と話を進める。

「二手に分かれるとして、ガイ。貴方の他に誰がコレを使うんです?」
と、アストンさんに貰った『ランチャー』という名の譜業を指して言うと、
「おいおい、今更使えないとは言わせないぜオッサン」
と呆れた返事が返ってきた。

「…保証はしませんよ?」



「よし。あとは組み分けだな。ルーク、お前は誰と行きt 「俺は絶対にジェイドと一緒だぞ」
ガイがルークに聞き終わる前に、陛下が率先して意見を述べた。
「………(〜〜っlll;)」

「俺は…別に誰とでも…」
ルークは苦笑していた。

「私から言わせていただきますと、此処は戦闘が多いでしょうから、
戦力は均等に分担するのが一番かと思います。
特に回復の出来るお二人は分かれていただいた方が良いですね」

「そうね」
「そうですわね」

「それにさっき言ったように、ガイと私が同方向では意味が有りませんから離れます」

「ああ」

「俺はジェイドと一緒だ」
「………」

「戦力としては、アニスは物理も譜術もカバーしてくれます。
ガイとの連携で攻撃には然程困らないでしょう」

「うん、私頑張るね」

「ナタリアのように一度に単体を大量回復させる譜術の方が、向いてるかもしれないですね。
いざという時は物理攻撃にも回れますし」
「ええ、そうですわね。では残りは、ルークとティアとジェイドと陛下で行かれるわけですわね?」


「ええ。陛下、あまり油断して前に出過ぎないようにして下さいね。
此処の魔物は他とは違って、少し強いでしょうから」
「ああ、任せとけってww」
「…はぁ…;」

呆れ顔の大佐。どうせしゃしゃり出ていくと分かっているのだ。



チームはジェイドが指示した通りに別れ、それぞれのルートからランチャーの照射位置まで移動を開始した。

険しい岩肌の埃っぽい道だが、
どの貴族も軍人も、使用人でさえへこたれる者は一人も居なかった。





――――――ガイ側



「ね〜ぇえ、ガイ〜〜。ホントにこっちで合ってるのぉ??まだ着かないよぉ;」

幾度目かのバトル終了後にアニスがついに不満を漏らした。

「ええ、確かに。急がなくては、飛空挺が落ちてしまいますわ」
「そうなんだが…、どうも此処は魔物に捕まり易いな…;
次からは戦うより、目的地に向かって逃げたほうが懸命かもな。道はこれで合ってる筈だ」
「うん…そうしよ」
「そうした方が良さそうですわね」

三人でのバトルは、いくらナタリアが居るからと言って、決して楽ではなかった。
普段はジェイドか陛下かルークが攻撃に加わってくれてる分、バトルも円滑に終わらせられていたのだが、
今回は敵の数もさながら、攻撃は二人で分担、
ナタリアは殆ど回復に専念している状態だ。
敵のHPを減らすのも一苦労だった。

その為かバトルにいつもより多少時間が掛かっていた。

ギンジの元へは、とにかく、なるべく早く辿り着かなくてはいけない。
ルーク側と同時発射が重要であり、どちらかが遅れても迷惑になり、命取りにもなり兼ねない。

(しっかし…ルークの奴大丈夫かな…?
調子に乗って陛下と競い合ったりなんかしてないと良いが…
あれで、乗せられやすいタイプだからなぁ…

や、どうせ陛下もジェイドに何か言われてるだろ
…でもなぁ…  はぁ、心配だlll;)

なんて心のどこかで向こうの事も気に掛けていた。

この頃、ルーク達と別れてから既に8分ほど経過してしまっていた。
だが目的地にも着実に近づいていて、あと少しというところに来ていたのだった。




―――――ルーク側



バトルに梃子摺っているガイ達と違い、コチラは四人でPTを組んでいる。
おまけに、ルーク、ティア、ジェイド、ピオニーというメンツだ。

雑魚バトルは普段以上に円滑に進み、ほぼ障害は無いも同然だった。


「敵ね」
「どっからでもこいよ!」
「ったーく、次から次へと、良くやるぜ」
「陛下。そうやって油断しないで下さいね」
「わーかってるって!」

「「とりゃ!」」

エンカウントするや否や、ルークとピオニーが先陣を斬る。


「―――スペル・エンハンス!」

前衛が奮闘している間に、ティアがすかさずジェイドの詠唱を速める補助譜術を詠唱。


「出でよ、敵を蹴散らす激しき水塊―――

     ―――――セイント・バブル!!!」


そしてジェイドが強力な譜術を繰り出す。

敵はあっという間に水の泡と化すのだった。



「…なんかよぉ、これで行くと、お前ばっか良いトコ取ってないか?」
ピオニーが愚痴をこぼす。

「この方法が一番手っ取り早いですし、楽ですから、仕方ありませんよ」
ジェイドが相変わらずの涼しい顔で返す。
「おまっ、皇帝に向かってなんだそれは」
「職権乱用ですよ陛下。」
「おまっ」


そうして陛下は一人言い負けてしょんぼりするのだった。



とは言え、このメンバーで来ている為か、早くも飛空挺近くの崖狭間まで来ていた。

「よし、もうすぐ目的地に着くぞ!」
「あっという間だったな♪」
「これなら、無事、間に合いそうね」




「……そんなに簡単にも行かせてくれないようですよ」


三人が安堵の色を見せたのも束の間、
背後に大きな黒い影が忍び寄って来ていた。


「逃げる事は不可能のようですね。仕方ありませんか…。
皆さん、情け容赦は禁物です。私達は急いでいるのですからね」
「ナタリア姫やアニスちゃんをあんまり待たせちゃ悪いしな」
「で……でかい…」
「ルーク、ぼやっとしてないで行くわよ!」

現れた魔物は、この辺りの雑魚とは風体が違って、大柄で、破壊力も有りそうだった。
見えない制限時間に内心で焦りながらも、
四人は隊列を整えて、戦闘を開始した。










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読んで下さって、ありがとうございました!!

さて、漸くシェリダン着きましたが、この辺の出来事って実はいまいちよく覚えてません(爆
なので色々いつもより多く穴が有りますが、気にせずに次へ参りたいと思います(笑

バトルバトルって感じで淡々とこんなトコまで来ましたが、
あれ、陛下の技とか…設定した割には使ってないなーみたいな。(ぇえ(笑
まぁ、あんまりバトルとか巧く書けないんで、
もういっそその辺はスル→しちゃっても良いんじゃないかn(以下略

っていうか最近アビスにあんまり触ってないんで、キャラをちょっと忘れつつあります(腐
ちょ、復習しないとっっ(笑

次回はボス戦とギンジ救出です。

07/10/10(Wed)