黒い大きな影。

でも、仲間と共に立ち向かえるなら――――

                         ――――恐くない。


08:思い出す、あの感覚



「行くぜ!」

ルークの掛け声と共に、ピオニーとルークが敵に向かって駆け出し、
最初の一撃を食らわす。

「時間が有りません。一気に片付けますよ!」



―――詠じる力を助けよ、  スペル・エンハンス!!!!

ティアがすかさずジェイドの詠唱時間短縮を図る。

その間、ジェイドも前線に加わって、ブレイドレックスを叩いていた。

「閃光墜刃牙ッ!!!」
ルークが一発技をかますと、それに触発されるように、ピオニーも
「昴龍礫破ッ!!!!」
と技をかます。

HITを稼ぐ意味でも、連続して攻撃するのが良いという事で、ジェイドもまた技を出す。
「風塵皇旋衝!」


――――壮麗たる天使の歌声…

          ♪ ヴァ  レィ  ズェ  トゥエ  ネゥ  トゥエ  リュオ  トゥエ  クロア



前衛が叩いている間に、ティアがホーリーソングを歌い、
全員の攻撃力と防御力を上昇させる。

ジェイドが前線から抜け、詠唱に入る。

その隙を突いて、ブレイドレックスがジェイドに攻撃を仕掛けようとするが、
二人、主にピオニーによってそれを阻止される。

「行かせねーよ!」

嬉々として、ブレイドレックスに攻撃をする。
一瞬ジェイドに気を取られていた所為で、ブレイドレックスの方に今度は隙が出来てしまった。


―――――雷雲よ   我が刃となりて 敵を貫け!
                     ―――サンダーブレード!!!!

ティアの譜術のお陰で詠唱時間が短くなっているジェイドは、
敵の隙を一切見逃さず、ブレイドレックスに多大なダメージを食らわせた。

そして、敵の足元には… 風のFOF。

ルークとピオニーは互いにニヤリと嫌味な笑いを浮かべた。


「「行くぜ!!」」



   貫く閃光 !!!  

            翔破 裂光閃!!!!!



                         火竜の猛攻―――  

                        ―――昂破 炎龍拿(こうは えんりょうだ)!!!



ピオニーのFOF技を初めて目にしたルークとティア。
その威力に暫し呆然としてしまった。


二人の攻撃が、ブレイドレックスに致命傷を与え、ブレイドレックスはあっという間に光と化した。



「〜〜〜っ!!決まったーー!!!」

技がクリティカルヒットして、自分の一撃で決まった事に、清々しい程の満面の笑みを浮かべるピオニー。
その様子をやれやれと見ているジェイド。

そして、脇に今だ呆然とするルークとティア。


「さて、流石に向こうも着いているでしょうから、急ぎましょう」

ジェイドの一声で我を取り戻した二人。

「え、ええ。そうね」
「あぁあ、行こうぜ」

「おお??なんだなんだ?二人とも、俺様の技の威力に驚いたのか??ww」

嬉々として二人に寄っていくピオニー。

「…正直言うと、ビビッた。まさか陛下がそんなに強いなんて…」
「えぇ。失礼ながら、私も驚きました…」
「そーかそーかwwいやいや、そーだろそーだろ??」

喜色満面でピオニーは前を行くジェイドの元へと歩き去っていく。
その様子を後ろから付いて行きながら、二人が見つめる。

「本当にわからない人だなぁ…」
というルークの呟きはティアの同意の元に消えた。



「久々だったが、なかなかの威力だったな♪」
「おや、私には少し腕が鈍ったように見えましたが?」
「なっ…、仕方ないだろ?ここんトコお前居なかったんだから…」
「はいはい。そもそも貴方が闘う必要もないのでしたね」
「そーだぞ」
「でも、貴方は自らの意思で此処に来たんですから、しっかりお願いしますよ」
「わーかってるよ」
「………まぁ、久々にしては上出来、でしょうかね」


そんな会話をサクッとして、
一行は漸く、飛空挺にランチャーを照射するポイントまで到達した。

向こう側にかろうじてガイ達の姿を確認した。


「ガイー!待たせたなーー!」
ルークが声を張り上げる。

「いや、俺達も今到達したトコだ!」
ガイが返す。




「照射、行くぞ!」

  1   2      3 !!!


ガイの掛け声を合図に、両端からランチャーが放たれる。
そして、ランチャーは見事に飛空挺の胴を掴み、支えた。

そのまま飛空挺をゆっくり引っ張り降ろし、操縦席に座っていた操縦士、ギンジを救出するのに成功した。

「あ、貴方達は、一体…?」

「ギンジさん、話は後にして、兎に角今はシェリダンに帰ろう」
ガイが促す。
「は、はい…」

「浮遊機関もちゃんと持ったよ♪」
アニスが翳し上げる。


「よし!戻ろう!!」







一行の帰りは、戦闘の感覚を明確に取り戻しつつあるノリに乗ったピオニーのお陰で、
ジェイド、ピオニーだけで殆どの戦闘が片付き、
気付けば、瞬く間にシェリダンへと戻ってきていた。










     

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読んで下さって、ありがとうございました!!

妙にバトルだらけな話でしたねぇ…。
初めてピオニーのFOFを出してみましたー。
なんと、振り仮名を振ってあります。だって読めない絶対。(腐
とにもかくにも威力の高い技という事でテキトーに流しておいてくださいな(ぇ

次回、アルビオール入手、セントビナーに帰ります〜


07/11/18(Sun)